電子契約サービスの選び方|中小企業が失敗しないための5つのポイント

「電子契約に切り替えよう」と思い立って調べ始めると、サービスの数が多くてどこから比べればいいか分からなくなる。そういう経験をした方は少なくないと思います。クラウドサイン・GMOサイン・freeeサイン・マネーフォワード
クラウド契約・DocuSign……どれも「簡単・安全・便利」とうたっていて、正直どこで差がついているのか見えにくい。

ただ、選択のポイントは実はシンプルです。月に何件の契約を締結しているか、どんなシステムをすでに使っているか、取引先がITに慣れているかどうか。 この3点を整理するだけで、自社に合うサービスはほぼ絞り込めます。

この記事では、電子契約サービスを選ぶ際に見るべき5つのポイントを順番に解説します。料金体系の落とし穴・立会人型と当事者型の違い・よくある失敗パターンまで、導入を検討している中小企業の担当者が知っておくべきことをまとめました。

この記事でわかること

  • 電子契約の「立会人型」と「当事者型」の違いと使い分け
  • 料金体系の比較ポイントと送信件数別のコスト感
  • 既存ツール(freee・マネーフォワードなど)との連携の確認方法
  • 導入前に把握しておくべき注意点とよくある失敗
  • 自社に合うサービスの絞り込み方

目次

そもそも電子契約を導入するとどれくらい得になるのか

選び方の話に入る前に、「なぜ電子契約を使うのか」という前提を確認しておきます。コスト削減の効果が想定より大きいことを知ってから選んだ方が、サービス選定の基準が明確になるからです。

印紙税ゼロは地味に大きい

電子契約の最もわかりやすいメリットは、印紙税がかからないことです。印紙税法は「課税文書(書面の文書)」に課税する法律で、電子文書は「書面」に該当しないため、印紙税は不課税とされています。

具体的な節約額を計算してみると、例えば請負契約書で1通あたり4,000円の印紙代がかかる契約を月20件締結しているとすると、年間で96万円の印紙税が発生しています。これが電子契約に切り替えると丸ごとゼロになる。電子契約サービスの月額費用が年間で10〜20万円だとしても、印紙税の削減だけで導入コストを軽く回収できる計算です。

契約件数が多い会社ほど、電子契約への移行は純粋にコスト削減の手段として機能します。

スピードと管理のコスト削減も見落とせない

印紙税以外にも、電子契約への移行で削減できるコストは複数あります。

郵送にかかる費用(封筒・切手・印刷代)は1件あたり数百円でも、月50件あれば年間で数万円規模になります。さらに見落とされがちなのが、契約書を管理する人件費です。紙の契約書をファイルに綴じて棚に保管し、必要なときに探し出す作業は、担当者の時間を確実に奪っています。電子契約に切り替えると、取引先名や日付で即座に検索できるようになるため、この管理コストもほぼなくなります。

清算経理担当者

電子契約って法的に本当に有効なんですか?紙の契約書じゃないと不安で。

アドバイザー

2020年に総務省・法務省・経産省の三省庁が連名で「電子契約は電子署名法の要件を満たす」と公式に認めています。日常の取引契約であれば、立会人型で法的有効性の問題はほぼありません。

選び方①「署名方式」を理解する

電子契約サービスを選ぶ際、最初に把握しておくべきなのが署名方式の違いです。「立会人型」と「当事者型」の2種類があり、どちらを使うかによって使い勝手・コスト・証拠力が大きく変わります。

電子契約の署名方式:立会人型 vs 当事者型

立会人型(事業者署名型)

✔ メールアドレスだけで署名できる
✔ 相手方の負担ほぼゼロ
✔ スピードが速い
✔ コストが安い
✔ 日常取引には十分な証拠力

対応:クラウドサイン・GMOサイン・freeeサイン・MFクラウド契 約・DocuSign

→ 日常の取引契約・業務委託・発注書など

当事者型

✔ 本人性の証明力が最強
✔ 法的紛争時の証拠力が高い
✖ 相手方も電子証明書が必要
✖ 手間とコストがかかる
✖ スピードが遅い

対応:GMOサイン(実印タイプ)・freeeサイン(電子署名タイプ)

→ M&A・大型案件・金融機関との契約など

※GMOサインは「ハイブリッド署名」として両方式 を1つの契約内で使い分けることも可能

立会人型 — 日常の取引には十分な証拠力

立会人型は、クラウドサインのようなサービス事業者が「立会人」として電子証明書を発行し、取引相手はメールアドレスさえあれば署名できる方式です。

最大のメリットは取引相手への負担の少なさです。相手方はアカウント登録も電子証明書の取得も不要で、メールに届いたリンクをクリックして内容を確認し、「同意する」ボタンを押すだけで署名が完了します。ITに詳しくない取引先でも迷わず操作できるため、普及率が高いのはこの立会人型です。

2020年7月には総務省・法務省・経済産業省の三省庁が連名で、立会人型電子契約も電子署名法第3条の要件を満たすと公式に認めました。日常的な取引契約で法的有効性が問われることはほぼありません。

当事者型 — 重要度の高い契約・大型案件向け

当事者型は、契約当事者それぞれが認証局から発行された電子証明書(いわばデジタルの実印)を使って署名する方式です。本人性の証明力が立会人型より高く、万が一の法的紛争になった際の証拠力が最も強い。

ただし、相手方にも電子証明書の取得が必要になるため、スピードと手間がかかります。M&Aの基本合意書・金融機関との融資契約・長期の重要取引など、締結に慎重を要する契約に向いています。

GMOサインとfreeeサインは立会人型・当事者型の両方に対応しており、案件の重要度に応じて使い分けができます。クラウドサインとマネーフォワード クラウド契約は立会人型のみですが、日常的な取引であれば実用上は問題ありません。

経営者

立会人型と当事者型、どっちを使えばいいの?

アドバイザー

毎月の仕入れ契約や業務委託なら立会人型で十分です。相手方がメールを受け取ってクリックするだけなので負担もゼロ。当事者型はM&Aや億単位の重要契約のときだけ使うイメージで考えておくといいですよ。

選び方② 料金体系を正しく比較する

電子契約サービスの料金は「月額基本料+送信ごとの従量課金」という構造が一般的です。月額だけで比較すると後で想定外のコストが発生することがあるので、ここは丁寧に確認してください。

送信件数が増えると従量課金が効いてくる

各サービスの料金体系を整理すると、次のような構造になっています。

クラウドサインは月額11,000円(Lightプラン)+220円/件の従量課金。GMOサインは月額9,680円(年契約)+立会人型110円/件・当事者型330円/件。freeeサインはStarterプランで月額6,578円(年契約)に50件/月の送信枠が含まれ、超過分は110〜220円/件。マネーフォワード クラウド契約は月額2,480円からで送信料が完全無料・件数無制限という異色の料金体系です。

送信件数が少ない会社はfreeeサインやGMOサインのように月額が低めのプランが向いています。一方で月50件以上の契約を締結する会社には、送信料がかからないマネーフォワード クラウド契約が結果的に最も安くなるケースがあります。

月あたりの送信件数を事前に試算する

料金プランを選ぶ前に、「自社は月に何件の契約書を締結しているか」を数えてください。これを把握するだけで、サービス選定の精度が一気に上がります。

月10件以下なら、GMOサインの無料プラン(月5件まで無料)から始めて様子を見るのが最もリスクが低い。月20〜50件の場合は月額固定+従量課金のサービスが使いやすい。月50件を超えてくると、送信料ゼロのマネーフォワードクラウド契約が総コストで優位になってきます。

「月額の安さ」だけで選んで、後から従量課金が積み重なって割高になる。これが電子契約サービスで最もよくある選び方の失敗です。

主要電子契約サービス 料金比較(税込)

サービス名 月額基本料 送信料(1件) 無料プラン
クラウドサイン 11,000円〜 220円 ✔ 月2件
GMOサイン 9,680円〜
(年契約)
110〜330円 ✔ 月5件
freeeサイン 6,578円〜
(年契約)
110〜220円
(枠超過分)
✔ 月1件
MFクラウド契約 2,480円〜
(税別)
無料(件数無制限)
DocuSign 1,333円〜/人
(年契約)
枠内無料
(月5〜100件)
✖(30日トライアル)

※料金は2026年5月時点の税込表示。年契約・月契約で異なるプランあ り。最新料金は各公式サイトを確認してください。

月あたり送信件数別・おすすめサービス

月5件以下 → GMOサインの無料プランから試す
月10〜50件 → クラウドサイン or GMOサインのライトプラン
月50件以上 → マネーフォワード クラウド契約(送信料ゼロで有利)
海外取引あり → DocuSign(180ヵ国対応)

選び方③ 既存ツールとの連携を確認する

電子契約は契約書を締結して終わりではなく、締結後のデータを会計・経費・CRMなどのシステムに連携させることで真価を発揮します。すでに使っているツールとの連携が取れるかどうかは、選定の重要なポイントです。

freee・マネーフォワードユーザーは同系列が使いやすい

会計・経理ソフトにfreeeを使っている会社は、freeeサインを選ぶと契約データと会計データの連携がシームレスになります。freee人事労務との連携も使えるため、労働契約・雇用契約の電子化を一緒に進めたい場合にも適しています。

マネーフォワード クラウドシリーズを使っている会社には、マネーフォワードクラウド契約が相性良く機能します。クラウド会計・クラウド経費精算・クラウド給与との連携が標準で用意されており、バックオフィス全体のデータを一元管理したい場合に強みを発揮します。

逆に「会計は弥生、勤怠はKING OF TIME、電子契約は別途」というように既存ツールがバラバラな場合は、連携よりも使いやすさとコストを優先してサービスを選ぶ方が合理的です。この場合はCSV出力でデータを引き出せれば十分なケースがほとんどです。

海外取引先がある会社はDocuSignを検討する

取引先に海外の企業が含まれる場合は、DocuSignが選択肢に入ります。180ヵ国・44言語対応と世界最大規模の電子署名サービスで、海外企業の多くがDocuSignを標準ツールとして採用しています。「相手からDocuSignで送られてくる」という状況は、日本でも商社・IT企業・外資系企業を中心に増えています。

ただしDocuSignは日本語UIが一部不完全で、国内の日常業務には使いにくいと感じる場面もあります。海外取引専用のツールとして使い、国内取引はクラウドサインやGMOサインで対応するという使い分けも一つの方法です。

経営者

月額が安いサービスを選んでおけば問題ないよね?

アドバイザー

そこが落とし穴で、月額が安くても送信ごとに従量課金がかかるサービスが多いんです。月20件送ると220円×20件で4,400円が別途発生します。まず月に何件契約しているかを数えてから選んだほうが確実ですね。

選び方④ 取引先が使いやすいかを確認する

電子契約は自社だけが使いやすくても意味がありません。取引先が戸惑わずに署名できるかは、現場の定着率を左右する重要な要素です。

相手方への負担が少ないサービスを選ぶ

立会人型の電子契約サービスはどれも「メールを受け取ってリンクをクリックするだけ」という基本操作は共通ですが、UIのわかりやすさには差があります。

クラウドサインとGMOサインは国内での利用実績が長く、相手方のUIが日本語でシンプルに設計されています。「電子契約って難しそう」と思っている取引先でも、一度体験すれば「これなら簡単だ」と感じてもらいやすい。

また、相手方の署名状況をリアルタイムで確認できるかも確認してください。「送ったけどまだ署名されていない」という状況を把握して催促できる機能は、契約締結の遅延を防ぐ上で実務的に重要です。主要なサービスはいずれもこの機能を持っていますが、通知設定の細かさやリマインダーの使いやすさは試してみて比較するのが確実です。

無料プランで取引先に体験してもらうのも手

すでに取引先が別のサービスを使っている場合でも、相手方は基本的にアカウント不要で署名できます。「電子契約を試してみたいが取引先の反応が不安」という場合は、まず無料プランで1〜2件試して、相手方の反応を確認してから本格導入を決めるのが現実的なステップです。

GMOサインは月5件まで無料、freeeサインは月1件まで無料で利用できます。最初の数件を無料プランで試して、問題なければ有料プランへ移行するという進め方をとれば、導入リスクをほぼゼロにできます。

選び方⑤ 導入前に確認しておくべきこと

料金・連携・使い勝手が揃っていても、導入前に確認しておくべき事項がいくつかあります。これを見落とすと「入れたけど使えなかった」という事態になりかねません。

電子化できない契約が存在する

電子契約サービスはあらゆる契約書に使えるわけではありません。公正証書が必要な契約(事業用定期借地権設定契約・任意後見契約など)は、現状では一般の電子契約サービスを使うことができません。農地の賃貸借契約なども書面が義務付けられています。

会社で締結する契約の中にこうした書類が含まれる場合、その分だけは引き続き紙で対応する必要があります。「全契約を電子化できる」と思い込んだまま導入して、後から対応できない契約が出てきて困る、というのはよくある失敗のパターンです。事前に自社の契約書の種類をリストアップして、電子化できるものとできないものを分類しておくことを強くおすすめします。

電子帳簿保存法の保存要件を満たすか確認する

2024年以降、電子取引で受け取った書類(電子契約書もここに含まれます)は、電子帳簿保存法の要件を満たした形で保存することが義務付けられています。

要件のポイントはタイムスタンプの付与と日付・金額・取引先で検索できる保管体制の2点です。主要な電子契約サービスはいずれもタイムスタンプ機能を持っており、クラウド上に保存したデータを検索できる設計になっています。ただし、サービスを解約した後のデータ保管方法については事前に確認しておいてください。解約後にデータをダウンロードできる期間がサービスによって異なります。

清算経理担当者

うちはマネーフォワードで経費精算してるんですが、電子契約も合わせた方がいいですか?

アドバイザー

連携の手間を減らしたいならそのほうが楽です。マネーフォワードクラウド契約なら会計・経費のデータと一元管理できるので、わざわざCSVを引き出す作業が要りません。

結論 — 自社に合うサービスはこう選ぶ

5つのポイントを踏まえた上で、自社の状況に合わせた選び方を整理します。

  • 月10件以下・まず試したい場合:GMOサインの無料プランからスタートする。月5件まで無料で、有料プランへの移行も月途中から可能です。
  • 月20〜50件・フル機能が必要な場合: 国内シェアNo.1のクラウドサインかGMOサインのライトプランが現実的な選択肢です。どちらも主要機能は揃っており、迷ったら使い勝手で選んで問題ありません。
  • 月50件以上・送信コストを抑えたい場合: マネーフォワード クラウド契約の送信料ゼロという料金体系が有利になります。
  • freee・マネーフォワードを使っていて連携したい場合:それぞれのシリーズ内の電子契約サービスを選ぶと管理が一元化できます。
  • 海外取引先がある場合: DocuSignを海外専用に導入し、国内は別サービスで対応する使い分けも有効です。

どのサービスも無料プランまたは30日間のトライアルを提供しています。まずは無料で試して、管理画面の使い勝手と相手方の反応を確認してから有料プランへ移行するのが最もリスクの少ない進め方です。

自社に合う電子契約サービスはどれ?

まず月あたりの契約締結件数は?
月5件以下

GMOサイン

無料プランで試す
月5件まで0円

月6〜50件

▼ 追加質問

海外取引先はある?

なし

クラウドサイン
or GMOサイン

国内シェアNo.1
安心の実績

あり

DocuSign

180ヵ国対応
海外取引に強い

月51件以上

▼ 追加質問

マネーフォワードを
すでに使っている?

はい

MFクラウド契約

送信料0円
シリーズ連携も◎

いいえ

MFクラウド契約
or GMOサイン

送信コストで
比較する

freeeを使っている場合: 件数に関わらず freeeサイン を検討する。会計・人事労務とのシームレス連携が使いやすい。

※どのサービスも無料プランまたは30日トライア ルあり。迷ったら両方試してから決める。

清算経理担当者

電子契約に切り替えたら、全部の契約書が電子化できるんですよね?

アドバイザー

残念ながら全部ではないんです。公正証書が必要な契約(事業用定期借地権など)は現状だと電子契約サービスが使えません。まず自社の契約書の種類を一覧にして、使えるものと使えないものを分けておくといいですよ。

今日から始める3つのアクション

  • 月あたりの契約締結件数を数える 

現在紙で処理している契約書が月何件あるかを把握します。これだけで料金プランの比較が一気に具体的になります。

  • 自社で使っている会計・経理ソフトを確認する 

freeeならfreeeサイン、マネーフォワードならクラウド契約という連携の軸が決まります。既存ツールとの相性を先に確認してからサービスを絞り込んでください。

  • GMOサインの無料プランで1件試してみる 

月5件まで無料で実際の取引先に送って署名してもらう体験ができます。「相手が戸惑わず使えるか」は実際に試すのが最も確実な確認方法です。

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この記事を書いた人

中小企業で働く知人から「ITツール多すぎて何を選んだらいいかわからん」と相談されたのがきっかけで、気づいたら法人向けクラウドツールの沼にはまってた人。
実際に複数のツールを試しながら、料金・使い勝手・サポートの質まで自分で確かめて記事にしてます。「どれを選んでも大差ない 」は嘘で、会社の規模や使い方によって正解は全然違う。
それをできるだけ正直に、わかりやすく伝えることを意識して書いてます。
「難しいことをそのまま書いても誰も読まない」と思っているので、ITに詳しくない人が読んでも頭に入ってくる言葉を選ぶようにして、経営者や担当者が「これ読んで決めた」と思えるようにエスコートします。

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