「電子契約を導入したいけど、サービスが多すぎてどこから比較すればいいか分からない」という状況は、実際に調べ始めた方なら誰でも経験することだと思います。クラウドサイン・GMOサイン・freeeサイン・マネーフォワードクラウド契約・DocuSign……どれも「簡単・安全・低コスト」をうたっていて、パッと見では違いが分かりにくい。
ただ、選ぶポイントを絞ると判断は意外とシンプルです。月に何件の契約を締結しているか・すでに使っている会計ソフトは何か・海外取引はあるか。 この3点を把握した上でサービスを比較すれば、自社に合う選択肢はほぼ絞れます。
この記事では、中小企業が実際に検討すべき電子契約サービス5つを料金・機能・向いている会社像の観点から比較します。「どれを選んでも大差ない」は正確ではなく、使い方によって最適解はかなり変わります。それをできるだけ具体的な数字でまとめました。
この記事でわかること
- 主要5サービスの料金プランと従量課金の仕組み
- 立会人型・当事者型の対応状況と使い分け
- 月あたりの契約件数・既存ツール別のおすすめサービス
- 無料プランで今すぐ試せるサービスの始め方
電子契約サービスを選ぶ前に確認しておくこと
各サービスの比較に入る前に、選定基準として押さえておくべき点を簡単に整理します。ここを理解してから読むと、各サービスの強みと弱みが格段に分かりやすくなります。
電子契約サービスには「立会人型」と「当事者型」の2種類の署名方式があります。立会人型はメールアドレスさえあれば相手が署名できる方式で、日常の取引契約では十分な法的有効性があります。当事者型は電子証明書を使う方式で本人性の証明力が高く、M&Aや大型案件向けです。中小企業の日常業務では立会人型で十分なケースがほとんどです。
料金体系は「月額基本料+送信ごとの従量課金」が一般的ですが、マネーフォワード クラウド契約のように送信料が完全無料のサービスもあります。月の送信件数が多い会社ほど、従量課金のないサービスが有利になります。
電子契約サービス 選定の2大ポイント
署名方式で選ぶ
対応:全5サービス
対応:GMOサイン・freeeサインのみ
送信件数で選ぶ
電子契約サービスおすすめ5選
それでは各サービスを詳しく見ていきます。料金は2026年5月時点の税込表示です。
①クラウドサイン — 国内シェアNo.1、安心感を重視する会社に
クラウドサインは弁護士ドットコムが提供する電子契約サービスで、富士キメラ総研の調査による国内市場シェア23.6%と、業界内で最大の実績を持ちます。「電子契約サービスといえばクラウドサイン」という認知は国内企業の間で最も広く、取引先が「知っている」という安心感が得られるのも強みのひとつです。
料金は月額11,000円(Lightプラン)から、送信ごとに220円の従量課金が発生します。月2件まで使える無料プランもあり、まず小規模で試してみることも可能です。
機能面では立会人型のみの対応で、当事者型(実印レベルの本人確認)には対応していません。ただし、日常の取引契約・業務委託・発注書・秘密保持契約といった用途であれば、立会人型で法的有効性は十分です。UIは日本語で設計されており、ITに詳しくない担当者でも操作しやすいのが特徴です。
こんな会社に向いています
業界内での知名度と実績を重視する会社、取引先に大企業が多くクラウドサインを指定されるケースがある会社、導入にあたって社内の稟議を通しやすいブランド力を求める会社に適しています。
経営者取引先がすでにクラウドサインを使っているんだけど、こちらも同じにした方がいい?



相手がクラウドサインで送ってきても、受け取る側はアカウント不要で署名できます。ただ、自分から送る機会が多いなら同じサービスに揃えた方が管理が楽になりますね。
②GMOサイン — 送信単価の安さと機能の幅広さが強み
GMOサインはGMOグローバルサインが提供するサービスで、立会人型と当事者型の両方に対応している点が他サービスと大きく異なります。立会人型(契約印タイプ)は110円/件、当事者型(実印タイプ)は330円/件と、業界内でも送信単価が低い水準に設定されています。
月額基本料は9,680円(年契約)からで、無料プランは月5件まで利用可能です。トライアル期間中はICカード打刻機・指静脈認証機器を無料でレンタルできる特典もあります。7言語対応でスマートフォンアプリも提供されており、機能の幅という点では国内サービスの中で最も充実しています。
GMOサインが他サービスと一線を画す機能が「ハイブリッド署名」です。自社側は当事者型(電子証明書)で署名しつつ、相手方は立会人型(メール認証)で署名するという使い方ができます。内部統制の強化と取引先の負担軽減を両立できる珍しい機能で、コンプライアンスを重視する会社には特に響くポイントです。
こんな会社に向いています
まず無料プランで試したい会社、重要度の高い契約と日常的な取引が混在している会社、送信件数が多くコストを抑えたい会社に適しています。
③freeeサイン — freeeユーザーなら連携の手間が大幅に減る
freeeサインはfreeeが提供する電子契約サービスで、freee会計・freee人事労務・freee経費精算との連携が最大の強みです。freeeシリーズをすでに使っている会社にとっては、電子契約で締結したデータがそのまま会計・労務のシステムに連携されるため、データ入力の二重手間がなくなります。
料金はStarterプランが月額6,578円(年契約)で、月50件の送信枠が含まれています。枠を超えた分は110〜220円/件の従量課金が発生します。無料プランは月1件まで利用可能で、立会人型・当事者型の両方に対応しています。
操作性はシンプルで、freeeの他サービスと画面デザインが統一されているため、すでにfreeeを使っている担当者はほぼ迷わず使い始められます。
こんな会社に向いていますfreee会計・freee人事労務をすでに使っている会社、バックオフィスの管理ツールをfreeeシリーズで統一したい会社に特に向いています。freeeを使っていない会社にとっては連携のメリットが薄れるため、他サービスとの比較を先に行うことをおすすめします。



freeeで会計も給与もやってるんですが、電子契約もfreeeサインにしたら何が変わりますか?



契約書に紐づいた取引情報をfreee会計に手入力する手間がなくなります。あとは雇用契約書をfreeeサインで締結するとfreee人事労務に直接データが入るので、採用時の書類管理がかなり楽になりますよ。
④マネーフォワード クラウド契約 — 送信件数が多い会社にコスパ最強
マネーフォワード クラウド契約はマネーフォワードが提供するサービスで、送信料が完全無料・件数無制限という料金体系が最大の特徴です。月額2,480円(税別)からの基本料のみで、何件送っても追加費用が発生しません。
他のサービスで月50件送ると従量課金だけで5,500〜11,000円かかるところ、マネーフォワードクラウド契約は件数が増えても料金が変わらない。契約書の処理件数が多い会社ほど、このサービスの料金優位性は際立ちます。
ただし立会人型のみの対応で、当事者型(実印レベルの本人確認)には対応していません。4名以上で利用する場合は1人あたり月900円(税別)の追加費用が発生するため、チームで使う際は人数分のコストを計算に入れてください。マネーフォワード クラウド会計・クラウド経費精算との連携が標準装備されており、同シリーズを使っている会社にとっては管理の一元化が図れます。
こんな会社に向いています
月50件以上の契約を処理している会社、マネーフォワードシリーズをすでに使っている会社、従量課金を気にせず使い放題にしたい会社に向いています。
⑤DocuSign — 海外取引がある会社のグローバルスタンダード
DocuSignは米国発祥の電子署名サービスで、180ヵ国・44言語対応と世界最大規模の実績を持ちます。グローバルで見るとDocuSignは電子契約の事実上のスタンダードになっており、海外の取引先から「DocuSignで送るよ」と言われる場面は日本でも増えています。
料金はPersonalプランが月額1,333円/ユーザー(年契約)から、送信件数は月5件まで。Standardプランは月額3,300円/ユーザーで年100件/ユーザーまで対応します。Salesforceとの連携が充実しており、CRM管理と契約締結を一気通貫で行いたい会社にも向いています。
一方で、日本語UIが一部不完全であったり、日付フォーマットや姓名の並び順など日本向けのローカライズに粗さが残る部分があります。国内の日常的な取引にはクラウドサインやGMOサインの方が使いやすいと感じる場面もあるため、国内取引は別サービスで対応しながら海外取引専用として導入するという使い分けも有効な選択肢です。
こんな会社に向いています
海外の取引先との契約が定期的に発生する会社、Salesforceを使っていて契約管理を一元化したい会社に向いています。



海外取引はそんなに多くないんだが、DocuSignも検討した方がいい?



海外取引が年数件程度なら、国内向けにクラウドサインやGMOサインを入れておけば十分です。DocuSignを優先すべきは、海外取引が月に複数件ある、または取引先からDocuSignを指定されているような場合ですね。
5サービスを一覧で比較する
ここまでの内容を整理するために、5つのサービスを主要な観点で横並びに比較します。「どのサービスが自社に合いそうか」の最終確認にご活用ください。
電子契約サービス おすすめ5選 比較一覧
| サービス名 | 月額基本料 | 送信料/件 | 無料プラン | 当事者型 | 連携強み |
|---|---|---|---|---|---|
| クラウドサイン | 11,000円〜 | 220円 | ✔ 月2件 | ✖ | 汎用API |
| GMOサイン | 9,680円〜 年契約 |
110〜330円 | ✔ 月5件 | ✔ | 汎用API |
| freeeサイン | 6,578円〜 年契約 |
110〜220円 枠超過分 |
✔ 月1件 | ✔ | freeeシリーズ |
| MFクラウド契約 | 2,480円〜 税別 |
0円(無制限) | ✖ | ✖ | MFシリーズ |
| DocuSign | 1,333円〜/人 年契約 |
枠内無料 | ✖ 30日トライアル |
✔ | Salesforce |
※料金は2026年5月時点・税込表示(MFクラウド契 約のみ税別)。最新料金は各公式サイトをご確認ください。
各サービスの無料プラン・トライアル状況は次のとおりです。GMOサインが月5件まで無料と最も間口が広く、クラウドサインが月2件、freeeサインが月1件まで無料で試せます。マネーフォワードクラウド契約とDocuSignは無料プランがないものの、DocuSignは30日間のトライアルが用意されています。
まず無料で試したい場合は、GMOサインの無料プランが最も使いやすい入口です。 月5件まで機能制限なしで試せるため、取引先への送付から署名完了までの一連の流れを実際に体験した上で、有料プランへ移行するかどうか判断できます。



複数のサービスを同時に試しても問題ないですか?



問題ありません。むしろ2〜3件の契約で両方試してから決めるのがおすすめです。管理画面の使いやすさや相手方の反応は、実際に使ってみないと分からない部分が大きいので。
結論 — 自社に合うサービスはこう選ぶ
5サービスを比較した上で、自社の状況に合った選び方をまとめます。
まず月の送信件数で大枠を絞ります。月5件以下なら GMOサインの無料プランから始めるのが最もリスクが少ない。月10〜50件の範囲ではクラウドサインかGMOサインのライトプランが現実的な選択です。月50件を超えてくると、送信料ゼロのマネーフォワードクラウド契約が総コストで有利になってきます。
次に既存の会計ソフトを確認します。freeeを使っているならfreeeサイン、マネーフォワードを使っているならマネーフォワードクラウド契約を選ぶと、データ連携の手間が大幅に減ります。どちらも使っていない場合は、コストと使いやすさでクラウドサインかGMOサインを選ぶのが無難です。
海外取引先がある会社はDocuSignを海外専用として検討し、国内取引は別サービスで対応するという使い分けも有効です。
自社に合う電子契約サービスを選ぶ
GMOサイン
無料プランで試す
freee
freeeサイン
MF
MF契約
その他
クラウドサイン
orGMO
MFクラウド契約
送信料0円が有利
迷ったときの最もシンプルな結論は「GMOサインの無料プランで今すぐ試す」です。月5件まで無料で全機能が使えるため、導入前のリスクをゼロにしたまま実際の操作感と取引先の反応を確認できます。そこで問題なければ有料プランへ移行する、他のサービスが気になれば試してから比較する、という進め方が最も後悔が少ないです。



結局どれにすればいいんだろう。



月20〜30件程度でマネーフォワードもfreeeも使っていないなら、GMOサインかクラウドサインで迷わず大丈夫です。どちらも試してみて、管理画面が使いやすい方を選んでください。それだけで十分な判断基準になります。
今日から始める3つのアクション
- 月あたりの契約件数を数える
今月処理した契約書が何件あるかを把握します。これだけでコストシミュレーションが具体的になり、サービス選定の判断が格段にしやすくなります。
- GMOサインの無料プランに登録して1件試す
月5件まで無料で実際の取引先に送付できます。「相手方が戸惑わず署名できるか」を確認するのが最初のステップです。
- 使っている会計ソフトと電子契約の連携を確認する
freeeかマネーフォワードを使っているなら、同系列の電子契約サービスを比較候補に加えてください。連携があるかないかで、導入後の管理の手間が大きく変わります。

